1.19世紀フランスの諷刺画

オノレ・ドーミエ Honore Daumier(1808-1879)

写実主義の画家ドーミエは、傑出した諷刺画家でもありました。類い稀な記憶力と持ち前の描写力で活気に満ちた19世紀のパリの人々を描き、諷刺画家として人気を博しました。40年にも及ぶ画業のなかで、ドーミエが遺した作品はリトグラフだけで4,000点以上にのぼります。それらは時代を映す鏡となり、今もなお瑞々しい魅力を放っています。

当館のドーミエ・コレクションは旧安宅コレクションが母胎になっています。約400点の版画、「シャリヴァリ」紙の合本12冊、彫刻17点からスタートして、現在では約1,800点をこえる版画、49点の彫刻、4点の油彩と4倍以上に拡大し、国内外でも有数の規模を誇っています。また当館所蔵の「カリカチュール」誌や「シャリヴァリ」紙の収録作品を含めると、その版画の数は2,000点以上にのぼります。



ポール・ガヴァルニ Paul Gavarni(1804-1866)

新聞王エミール・ド・ジラルダンに見いだされたガヴァルニは、モード画や男女の恋愛、カーニヴァルに興じる人々、逞しく生きる娼婦たちなど多くの風俗諷刺画を手がけ、オノレ・ドーミエとともに諷刺画の世界で名を馳せました。

当館では1830年代後半から1840年代の「シャリヴァリ」に掲載された作品を中心に約1,000点の版画を所蔵しています。


J. J. グランヴィル J. J. Grandville(1803-1847)

グランヴィルは、ドーミエらとともに「カリカチュール」や「シャリヴァリ」で政治諷刺を手がけました。もともと変身譚を得意としていましたが、1836年以降は本格的に本の挿絵に転じ、夢想家の本領を発揮します。その幻想的な描写はシュルレアリスムの先駆となりました。

当館ではリトグラフ2点のほか、『当世風変身譚』『動物たちの私的公的生活情景』『生命を与えられた花々』『星々』などの挿絵本を所蔵。なかでも『もう一つの世界』の企画書は非常に珍しい、貴重なコレクションです。


バンジャマン・ルボー Benjamin Roubaud(1811-没年不詳)

1830~40年代に著名人を戯画化した作品で名を馳せたルボーは、主にオベール社発行の出版物で活躍しました。とりわけ、ダンタンの戯画彫刻にも匹敵する100点の肖像戯画シリーズ《パンテオン・シャリヴァリック》は彼の代表作であり、当館のフランス諷刺画のコレクションに厚みと彩りを添えてくれています。


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