2.18世紀~19世紀のイギリスの諷刺画

ウィリアム・ホガース William Hogarth(1697-1764)

ホガースは、18世紀イギリスを代表する国民的画家です。同時代の社会、人間をありのままに描写しつつ、そこに道徳的主題を重ね合わせる独自の諷刺的風俗画で人気を博しました。その成功の要因となったのが銅版画の制作です。彼は油彩を自らの手で版画連作にして一般に売り出しました。物語性にあふれたそれらの作品は「読む版画」と称されています。

当館では《娼婦一代記》、《放蕩者一代記》、《当世風結婚》といったホガースの代表的銅版画連作のほか、彼の作品に触発されてデイヴィッド・ホックニー(1937- )が制作した版画連作《放蕩一代》(1963)も所蔵しています。


ジェイムズ・ギルレイ James Gillray(1757-1815)

18~19世紀にかけてイギリスでは銅版画の技術の確立とともに諷刺画(カリカチュア)が隆盛しました。ギルレイは、そうした中で登場したイギリス初の職業諷刺画家です。1775年に初めて諷刺画を手がけ、以後国王ジョージ3世やピット政権、あるいは対仏戦争下でのナポレオンを鋭い切り口で描き、その名を世に知らしめました。

当館では、下記の4人の旧コレクションから成る約500点の版画を所蔵しています。

  • ・ノースウィック卿(後にチャーチル首相の家系に引き継がれる)
  • ・メルチェット卿(当時の有名なコレクター)
  • ・ノーザンバーランド公爵(宮廷人、軍人、政治家)
  • ・スターヘムベルク伯(ギルレイの時代のオーストリア在英大使)

これらはほぼ未公開であったため、今もなお鮮やかな色を保っています。


ジョージ・クルックシャンク George Cruikshank (1792-1878)

諷刺画家アイザック・クルックシャンク(1762-1811)を父に、同じく諷刺画家のアイザック・ロバート(1786-1856)を兄にもつジョージ・クルックシャンクは、ハナ・ハンフリーの版画店でギルレイに代わる政治諷刺画家として活躍しました。後に本の挿絵画家に転身、ディケンズの『ボズのスケッチ』(1836)、『オリヴァー・トゥイスト』(1838)などで名を博します。風俗諷刺も多く手がけ、1840年代からは禁酒運動を推進しました。

初期から晩年まで約600点の版画を所蔵しています。

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