7.伊丹と現代美術

遺された時ー蔵の組舟 × 江口 週

美術館の庭に設置された《遺された時ー蔵の組舟》(1990)は、彫刻家・江口週(1932- )と当館とのコミッション・ワークで、1986年(昭和61)に取り壊された旧岡田家の酒造蔵の一つ、「大蔵」と呼ばれた蔵の梁を素材に造られました。清潔で力強い形態は、まるで悠然と大海をいく舟のような印象を観る者に与えます。蔵の記憶をとどめながらこの地に座した本作は、人の営為を静かに見守っています。


伊丹・宮ノ前アーケードプラン × 川俣 正

この作品は、美術館にほど近い、再開発以前の宮ノ前商店街を舞台に川俣正(1953- )によって構想されたものです。残念ながら実現には至りませんでしたが、かつての繁栄を忍ばせる商店街全体を木材で覆うという壮大なプランにより、「場」の問題を我々に提起しました。そこに存在していた建物をクローズアップすることで、人々の記憶を現前化し、再度自分の居場所を見つめ直すことを我々に促しています。


場所と響き合う × 今村 源

机・冷蔵庫・椅子・電球など日常的な素材をわずかに加工することで、日常に潜む認識の「ゆれ」を軽やかに表現する今村源(1957- )。本作は、今村が当館での個展を機に、美術館の場の特性(独特な地上/地下の空間、複合施設、酒蔵の跡地である歴史的背景)を念頭において制作した作品群の一部です。菌類の生態系をキーワードにして場と作品が呼応し合っています。その中の一つ《ダイブII》は、第35回中原悌二郎賞・優秀賞を受賞しました。


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